【著作者にはどんな権利があるのか?】著作者に発生する2つのタイプの権利を解説|弁護士監修

著作者は、創作した著作物に対して、人格的な権利(著作者人格権)と、財産的な権利が発生します。それぞれの権利は異なる目的を持ち、著作権法に基づいて保護されています。本記事では、著作者に発生する2つのタイプの権利について、契約書自動チェックサービス”Collabo Tips”[コラボ・ティップス]を監修するメリットパートナーズ法律事務所の弁護士が解説します。

目次

著作者人格権(人格的な権利)

著作者人格権は、著作物に対する著作者の人格的な利益を保護するための権利で、譲渡できず、相続できないという特徴があります(著作権法59条)。これらの権利は、著作者が生きている間のみ行使でき、著作者の死後は基本的に消滅します。著作者人格権には、以下の3つがあります。

権利(条文)内容
公表権      
(第18条)
著作物を公表するかどうか、いつ、どのように公表するかを決める権利。
氏名表示権
(第19条)
自分の著作物を公表するときに、著作者名を表示するかしないか、表示する場合は実名または変名を表示するかを決めることができる権利。
同一性保持権
(第20条)
著作物の内容や題号が、著作者の意に反して改変されない権利。

著作権(財産的な権利)

著作権は、著作物を利用することで得られる財産的な利益を保護する権利です。著作権は、譲渡したり、相続したりできるため、著作者以外の者がその権利を持つこともあります。著作権には、以下の権利があります。

権利(条文)内容
複製権         
(第21条)
著作物を印刷や録音、録画などの方法で再製する権利。
上演権・演奏権
(第22条)
著作物を公に上演または演奏する権利。録音や録画されたものを再生する権利も含まれます。
上映権
(第22条の2)
映画の著作物を公に映写する権利。
公衆送信権・公の伝達権    
(第23条)
著作物をインターネットなどを通じて公に送信したり、放送したりする権利。
口述権
(第24条)
言語の著作物を朗読などで公に伝える権利。
展示権
(第25条)
美術の著作物や未発行の写真を公に展示する権利。
頒布権
(第26条)
映画の著作物を頒布(販売や貸与など)する権利。
譲渡権
(第26条の2)
映画以外の著作物の原作品や複製物を公衆に譲渡する権利。
貸与権
(第26条の3)
映画以外の著作物の複製物を公衆に貸与する権利。
翻訳権・翻案権
(第27条)
著作物を翻訳したり、編曲したりする権利。二次的著作物を創作するための権利です。
二次的著作物の利用権
(第28条)
二次的著作物を利用する際、原著作物に関連する著作権を行使する権利です。

財産権の譲渡や利用許諾

著作者は、財産的な意味での著作権を他人に譲渡し、利用許諾することができます。たとえば、著作権を出版社や制作会社に譲渡し、その後は譲受人(新しい著作権者)がその著作物を利用することができます。

まとめ

著作者には、著作物に対する人格的な権利(公表権、氏名表示権、同一性保持権)と財産的な権利(複製権、上演権、翻訳権など)があります。人格的な権利は譲渡不可であり、著作権の譲渡は財産的な権利に限られます。著作者はこれらの権利を駆使して、自己の著作物に対する保護と利益を確保します。

コラボ・ティップス監修:メリットパートナーズ法律事務所

メリットパートナーズ法律事務所は、2011年に設立されました。著作物や発明、商標など知的財産やM&A等の企業法務を取り扱い、理系出身の弁護士や弁理士も在籍しています。「契約書をもっと身近にする」との思いで2022年、契約書チェック支援サービス“Collabo Tips”[コラボ・ティップス]を開発しました。分かりづらい契約書の全体像を「見える化」して、押さえるべきポイントが分かるようになり、企業間コラボレーションの促進を後押しします。 

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