中小企業で「社内の法務担当は自分だけ」という「ひとり法務」は少なくないでしょう。新しいことに取り組む場合、これまで使ってきた契約書のひな形が使えず、困ってしまうケースもあります。弁護士監修の契約書チェック支援「コラボ・ティップス」は「ひとり法務で相談者がいない」「まずは内容を把握したい」といった悩みを解決します。登録から使い方、締結までの流れを、コラボ・ティップスを運営するメリットパートナーズ法律事務所が紹介します。
契約書チェック「コラボ・ティップス」とは
コラボティップスは「新しいビジネスをつくりたい」「異業種とコラボレーションしたい」という思いを持つ中小企業やスタートアップの法務担当者に伴走し、契約書を読むポイントをアドバイスする弁護士監修の自動レビューサービスです。無料版と有料版(2,980円/月)があります。違いはアドバイスできる契約書の数で、精度に違いはありません。無料版でも下記の7種類が可能で、初期費用はありません。
・共同開発なのか、人材の提供なのか、資本供与なのか、まだ具体的なコラボレーションの内容が定まらない「お見合い」状態で、まずは秘密保持契約書を結びたい
・新しい取引先から契約書の案が届いたが、自社に不利な条項が含まれているかどうか分からない
といった中小企業・スタートアップの法務担当者に向けて、コラボティップスは「合理的な落としどころ」をアドバイスします。
まずは1分で登録!
登録は簡単です。「新規登録(無料)」ボタンを押すと現れる登録画面にメールアドレスを入力すると、仮登録のメールが届きます。クリックして「お客様登録」画面に情報を入力、規約とプライバシーポリシーに「同意する」ボタンを押せば完了です。
- 「新規登録(無料)」ボタンを押すと登録の画面へ。メールアドレスを入力
- メールのURLをクリック、名前など情報を入力する
- ユーザー登録が完了
ブログとセットで使いこなす
コラボティップスを使う前に読んでおきたいのが「契約入門ガイド」です。まずはざっくりと押さえるべきポイントをつかんでから、コラボティップスにかけると、より理解が深まります。
コラボティップスは「ここは間違っています」「この条文は修正してください」といった、手取り足取りの「添削」をするわけではありません。「ここは注意して読んでください」「直すなら下記のような例があります」とアドバイスしてくれるコーチです。「法務に強くなりたい」「せっかくなので自習したい」といった思いにもこたえます。最初はとっつきにくい契約書もコラボティップスを使ううち、次第に読みこなせるようになるので安心してください。秘密保持契約書であれば、下記のブログを読んでおきましょう。
01:契約書をアップロード
この記事では新規事業に欠かせない秘密保持契約書を例に、使い方を説明します。
まずは「ログイン」をクリック。メールアドレスとパスワードを入力、ログインします。チェックしたい契約書をアップロードします。ドロップ&ドラッグか、ファイルを選択します。無料版はワードのみ、有料版はワードに加えてPDFも読み込めます。
02:自社の立場を選ぶ
左半分にアップロードした条文、右半分にチェックする項目が表示されます。まず右上の「契約書の種類と自社の立場を選択してください。」との問いへの答えを、ドロップダウンメニューから選択します。今回は「秘密保持契約書」「秘密情報を開示する立場でチェックする」を選びます。
種類と自分の立ち位置を選ばないと、先に進めない仕組みになっています。この動作によって、「自社は開示する側なんだ」と、自分たちが何をしようとしているのか、最初に全体を俯瞰できるようになります。この機能は特許取得済みで、コラボティップスの強みです。
立ち位置を入力すると、「取引の可否の検討」から「商品販売・サービス提供」までのロードマップが示されます。秘密保持契約書の場合、「取引の可否の検討」段階で結ばれる契約書と分かります。「契約書の説明」とあわせて、注意点を確認しましょう。
下部にある「契約書のチェックを開始する」ボタンを押すと、10秒~数十秒で解析が終わります。
03:「発見した留意点」をチェックする
解析が済むと「契約書の位置づけ」「発見した留意点」「未発見の留意点」の3つのタブが現れます。左画面の「!」をクリックしても、対応する留意点が右画面に現れます。
「発見した留意点」はこの契約書の場合、13点を発見しています。上から順番に確認していきましょう。「解説」では「この条文を読むときのポイントはコレ」と教えてくれます。
04:必要なら「サンプル条項」を参考に修正する
たとえば、秘密保持契約書でも一切開示しない「極秘情報」は守るべきなので、条文に極秘情報が含まれていないかチェックします。極秘情報が含まれていて「修正が必要だな」と判断したら、「解説」の下に表示されている「サンプル条項」を使って自社の契約書をカスタマイズします。サンプル条項には「中立」「開示者有利」「受領者有利」と3種類あります。※必ず3種類表示されるわけではありません。
画面を左右分割して、片面にコラボティップス、もとの契約書(Word)を片面に広げておくと作業がスムーズです。※Windowsのパソコンであれば「Windows キー + 左 / 右 」矢印を押します。コラボティップスのサンプル条項にあるコピーボタンを押すとコピーできるので、修正したい契約書(Word)にペーストして自社仕様にします。
立場を替えて契約書をみることも、相手側の立場が分かって参考になります。両社とも開示する立場になるケースもあるので、中立も読みましょう。
05:未発見の留意点をチェックする
「未発見の留意点」は、「この契約書にはなかったけれど、念のためチェックしてね」というポイントを挙げています。サンプル条項も見て「必要がある」と判断すれば、「発見された留意点」同様、ワード文書にコピー&ペーストして追加できます。
契約書ひな型をダウンロード
契約書を自分たちが作成する場合、ひな型をダウンロードできます。秘密保持契約書の場合、無料版なら「開示者有利」「受領者有利」の2種類、有料版だと合計5種類のWordファイルがダウンロードできます。自社にカスタマイズしてから、コラボティップスにかけてチェックすることも可能です。
コラボ・ティップス運営:メリットパートナーズ法律事務所
メリットパートナーズ法律事務所は、2011年に設立されました。著作物や発明、商標など知的財産をめぐる法律業務に特化し、理系出身の弁護士や弁理士、行政書士も在籍しています。「契約書をもっと身近にする」との思いで2022年、契約書チェック支援サービス「Collabo Tips(コラボティップス)」を開発しました。分かりづらい契約書の全体像を「見える化」して、押さえるべきポイントが分かるようになり、企業間コラボレーションの促進を後押しします。